説教メモ
2025年6月29日
聖ペトロ 聖パウロ使徒 マタイ8:18~22
今年は6月29日が日曜日に当たるため、聖ペトロ・聖パウロ使徒の祝日が祝われます。2008年には前教皇ベネディクト16世が「聖パウロの年」を宣言され一年をかけて偉大な使徒聖パウロに学ぶこと、思い起こし祈ることが呼びかけられたことを覚えておられることと思います。
さて、今日の福音朗読はマタイ福音書の8章からです。今日の福音朗読のキーワードは「わたしに従いなさい」というイエス様のことばです。イエス様と群衆の集まっているところに、一人の律法学者が近づいて「あなたがおいでになるところなら、どこへでも従って参ります」と弟子になる覚悟を述べました。ところがイエス様は「人の子には枕する所もない」とお答えになりました。この律法学者が実際にイエス様の弟子たちの中に加わったか定かではありませんが、イエス様について行きたいと望んだ人々は福音書の中に登場してきますが必ずしもイエス様はそれを許していないことも記されています(マルコ5:1~20参照)。また弟子の一人が「主よ、まず、父を葬りに行かせてください」と願いました。ルカ福音書の並行箇所ではイエス様の方からある人々に「わたしに従いなさい」と声をかけたところ、その人が「まず、父を葬りに行かせてください」とか「主よ、あなたに従います。しかし、まず家族にいとまごいをさせて下さい」と人間的な価値観では当然許されるべきことに対してもイエス様は「死者は死者に葬らせておきなさい」、「鋤に手をかけてから、後ろを振り返る者は、神の国にふさわしくない」という厳しいとも思えることばを語られています。
イエス様がペトロと出会った時、それはルカ福音書の5章に記されているようにペトロの舟に乗り、岸辺の群衆に語られた後、沖に漕ぎ出し網を下ろすように命じられ、奇跡の大漁というしるしを見て、ペトロは一切のものを捨ててイエス様に従いました。パウロとイエス様の出会いはさらに劇的です。イエス様を信じる人々をとらえようとパウロ(サウロ)はダマスコ街道を疾駆していたその時、突然の光に包まれ、「サウロ、サウロなぜわたしを迫害するのか?」という声が響きました。「あなたは誰ですか?」というパウロの問いに「わたしはあなたが迫害するナザレのイエスである」という声を聞き、パウロの回心が始まります。ペトロにしてもパウロにしてもイエス様との出会いが生涯の歩みを決定しました。イエス様に従うことは一本道なのです。それは司祭職への召命の際にも同じことが求められていると思います。イエス様がわたしたち一人ひとりのために考えて下さっている召し出しは、わたしたちが「こうしてほしい」と望むものとは限りません。一人ひとりを最高に愛して下さるイエス様のみ心を知ることこそ迷い無き道となるのです。
[祈り・わかちあいのヒント]
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あなたはペトロ、パウロのどんなところに惹かれますか?